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X-BASE(クロスベース)インタビュー

X-BASE(クロスベース)の使い方や機能の説明を対談形式で紹介していきます
線香亭無暗(プロモデラー)左 宇津(ハピネット)右

・線香亭無暗(せんこうていむやみ)氏

模型メーカーのサンプル等を手掛け、年間約100体もの完成品を仕上げるというプロモデラー。
クロスベースに関しては商品サンプルとして製作されたコトブキヤ製キットの製作を担当した。

クロスベースの魅力を探る「X-BASE How to講座」。
第一回目はクロスベースをリリースする株式会社ハピネットの宇津氏と、クロスベースの宣伝用模型作例を担当した線香亭無暗氏の対談でクロスベースの魅力を探ってみます。

線香亭無暗(以下 無):お疲れ様です!
宇津(以下 宇):どうもお疲れ様です。
無:このクロスベースの件で「しばらくです」って言えない位しょっちゅう会っている訳ですけれども(笑)。
宇:そうですね。色々お世話になっております(笑)。
無:私はこのクロスベースの販促用サンプルとしてコトブキヤさんのキットの模型製作をお受けしたのがご縁でお付き合いさせていただいているわけですけれども、まあ、最初にクロスベースを見たときは素直にびっくりしましたね。「時代はついにここまで来たか!」と。
宇:そういっていただけるとありがたいです。実際にこの商品は開発に膨大な時間がかかっていまして、ようやく商品化に漕付けたというのが正直なところです。
無:どれくらいの期間開発されていたんですか?
宇:7年です。
無:7年! そりゃぁ大変だ!! そこまで時間がかかったというのはどんな理由で?
宇:現在、実用化が進んでいる非接触給電のシステムというのは一般的に言うと電磁誘導方式、磁界共鳴方式、マイクロ波放電方式の3つがありますが、この他にも磁界結合方式や直流共鳴方式、超音波ワイヤレス給電などの開発も進んでいます。これらの中で、実際に非接触、つまりベースからデバイスを完全に離した状態で給電でき、最も確実な給電が可能なのが磁界共鳴方式なんです。クロスベースではこの磁界域をより広く安定した状態に保つのに、非常に苦労しました。
無:なんだか急にハードルが高い話になっちゃいましたけれども、実際に触ってみて最初に驚いたのは30cm四方のベースステーションの中で、自由に大量のLEDが点灯する様子でした。それを目指して開発にご苦労されたということですね。
宇:そういうことです。
無:それから、実際にベースステーションを手にとってみると、構造が非常にシンプルなんですよね。底面と背面のボードがあって、底面ボードの裏側にスイッチと動作確認用のLED、DCジャックがあるだけという。
宇:そのあたりもクロスベースの売りなんです。これだけシンプルなものなのに、可能性は大きく広がるという。
無:たしかにそういう可能性は感じますね。

立ては底面の板に背面の板を差込むだけ。商品には固定用のビスも付属する。
底面の裏側には滑り止めのゴム足が貼られているだけ。実にシンプル。
背面には高級感あるクロスベースのロゴがレリーフとなっている。
メカらしいディテールは底面背部の動作確認用LED、スイッチとDCジャックのみ。

きめ細やかな開発で到達した境地

無:最初に打合せをした時点から数ヶ月がたちますが、その間にも劇的に改良されていますね。
宇:そうですね。色々と手を加えました。
無:最初に拝見したのは今年の7月くらいだったと思うのですが、その時点では今よりも若干不安定な感じがして、場所によってはLEDユニットの点灯が不安定になる場合もあったと思うんですが、9月になって出来上がってきた最終試作ではそういった不安定さが改良されただけでなく、LEDも明るくなったように感じました。たった数ヶ月なのに劇的な変化だと思いました。この短期間での改良は一体どんな手法で行われたんでしょうか?
宇:実際には2ヶ月で改良できたわけではなく、その前から改良には着手していたわけですが、今までのノウハウを活かしてハード面ソフト面で改良しました。
無:7年の間、そういった細やかな改修を繰り返されてきたわけですね。
宇:そうですね。
無:それから当初はホワイト、レッド、グリーン、ブルーの4色だったLEDユニットもアンバー、ピンク、パープルの3色が追加されて7色になりました。
宇:そうですね。これは色の選択肢がなるべく多いほうが、ユーザーの皆様に喜んでいただけるのではないかということで企画しました。
無:モデラーとしてはLEDだけでなく、他のデバイスも待ち遠しいところなんですが(笑)。
宇:そのあたりは実際に線香亭さんや他の模型業界の方々とお話させていただいて、色々と気付かされるところが多くありました。ですから、逆に伺いたいのは線香亭さんが実際にクロスベースを使用した作例を製作する際に、どんな風に感じられたのかというところなんです。

電源を接続したら後はスイッチを入れるだけ。
LEDユニットで遊ぶ2人。何度やってもこうして遊んでしまう楽しさがある。
LEDユニットはパッケージに入ったままの状態でも発光する。
LEDユニットは白、赤、緑、青、アンバー、ピンク、紫の7種。

ユニットの組み込みは創意工夫。豊かなイマジネーションで臨む

無:そうですね。最初にお話を伺った時点で、私が担当させていただくキットがほぼ確定していたので、「さて、どうやって見せたらクロスベースの魅力が一番良く伝わるのか」というところは結構考えましたね。最初に考えたのが、これまでの電飾のようにスイッチや電源を入れるスペースが必要ないのでギリギリで内蔵できる際どい隙間や間接可動するその先に積極的にLEDユニットを内蔵してみようということでした。
宇:なるほど。
無:ただ実際に作業にかかると意外とスペースが無くて、例えばフレームアームズのマガツキにしてもヘキサギアの2体にしても、基本的にはフレームがしっかりとあって装甲等がかぶさる構造ですから、LEDユニットがちょうど収まるような隙間が無いんですよ。そこでフレームの内部を削ってユニットを入れてみたり、パーツのブロックとブロックの隙間を照らすようにユニットを仕込んだりといった手法をとりました。
宇:そのあたりは上手くやっていただいているなぁと感心しました。
無:それから大事なのは、電飾のサンプルだからといって模型の基本的な仕上げが疎かになっては魅力が半減すると思ったので、それぞれのキットの特性を活かしてはっきりと違いのわかるフィニッシュにしたということだと思います。まあ、実際には簡単に言い切れない工夫がたくさんあるんですけれども(笑)。
宇:そのあたりは次回からゆっくり語っていただきたいと思います(笑)。
無:では今回はこのあたりで、ということで、次回からは実際の作例の写真をご覧いただきながら、どんな風にクロスベースを活用しているかというところをご覧いただきましょう。
宇:では次回をお楽しみに、ということですね。
無:あ、それ、作例記事をやらせていただく時に必ず言っている台詞があるんですけれども。
宇:じゃあシメはお願いします。
無:わかりました。それでは皆さん、次回も乞御期待!!

以下、線香亭無暗氏による作例をご紹介します。今後のインタビューでも少しずつ紹介していきます。

最初の作例となったコトブキヤFAマガツキ。
フレームだけでなく各部装甲にもLEDユニットを仕込んでいる。
給電域が広いのでこんなふうに持ち上げても点灯を維持する。写真右はテストで製作したフレームアーキテクト。
コトブキヤ:ヘキサギア レイブレード・インパルスはカーモデル風の仕上げとし、各ユニットの隙間にLEDを配置した。
コトブキヤ:ヘキサギアハイドストームは当初より水中でのディスプレイを想定していたため、カラーリングやLEDユニットの固定方法に工夫した。
コトブキヤ:FAGフレズヴェルグ・アーテルではディスプレイとしてのクロスベースの使用例として製作した。