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X-BASE(クロスベース)インタビュー

X-BASE(クロスベース)の使い方や機能の説明を対談形式で紹介していきます
線香亭無暗(プロモデラー)左 宇津(ハピネット)右

・線香亭無暗(せんこうていむやみ)氏

模型メーカーのサンプル等を手掛け、年間約100体もの完成品を仕上げるというプロモデラー。
クロスベースに関しては商品サンプルとして製作されたコトブキヤ製キットの製作を担当した。

第2回目も同じくインタビュー形式でクロスベースの魅力や使い方を紹介していきます。

宇津(以下 宇):今回からは実際に作っていただいた作例に照らして、クロスベースの魅力を語っていただこうと思うのですが。
線香亭無暗(以下 無):そうですね。最初に製作したのがコトブキヤさんのフレームアームズ「マガツキ:RE」でしたから、これからご紹介しましょうか。
:最初に製作された際の感想などをお聞きしたいですね。
:まずはどこにLEDユニットを入れれようか、というところから考え始めたんですが、実際に模型に内蔵しようとするとLEDユニットが結構大きいということが判明しまして(笑)。
何せ内部フレームがきっちり入っているのが特徴のFAシリーズですから、そのままで取付けられる部分が少ないんです。
:そのあたりは最初の打合せの時点で「少し大きいかも……」とおっしゃってましたね。
:ええ、透明パーツなども多いので何とか全部を光らせたい。
そこで、フレームや装甲のなるべく見えないところを中心に切欠きを作ってEDユニットを組込むことにしました。
ただ、電飾のサンプルに使用する作例なので、なるべく派手に光っていたほうが効果が高いのではと考えて、部分的に直接LEDが見える部分が出るように、後から追加したりしています。
:そうでした。途中経過を見せていただいた時に、もう少しLEDユニットを入れられないかとお願いしましたね。
:実はそのあたりもこのクロスベースの大きなメリットで、通常の電飾であれば電源や配線、スイッチのスペースが必要になりますから、後から簡単に光源を追加するといったことができない場合があります。その点、クロスベースであればLEDユニットを仕込むスペースさえあれば、後からいくらでも追加できる。そういう意味では非常に自由に電飾が楽しめるといえます。
:他に工夫されたところはありますか?
:色々とやってはいるんですが、ここから先は実際にどうやってLEDユニットを取付けているのかをご覧いただいた方が早いと思いますので、記事を参照していただければ。
:そうですね。それではこのマガツキが、どんなふうに製作されているのかご覧いただきましょう。

まず右側は皆さんお馴染みの写真。クロスベースの使用例として撮影されたものです。
左側は普通に撮影したもの。武者を髣髴させるオリエンタルなデザインに各部の透明パーツが目を引きます。
透明パーツが多用されているので電飾向きかと思いきや、これが中々難物です。
これが分解した様子。大まかにはフレームアームズの特徴であるフレーム部、フレームに取付ける外装部、さらにその上に取付ける装甲部に分けられます。つまり中身に中空の部分が少ないため、普通に電飾をするとなると LEDや電源などが内蔵しにくいということになります。そこで力を発揮するのがクロスベースとLEDユニット。
ではまずフレーム部分を見てみましょう。
これがマガツキの「フレームアーキテクト」と呼ばれるフレーム。
頭部と足先はフレームアーキテクトを使用せず、別のパーツで構成されています。
ここに、これまでのように電源を仕込むのは相当厄介ですね。
それが、電源の要らないクロスベースなら可能になります。
ではまず頭部から。
両目を光らせるためのLEDユニットはマスクの下部に穴を空けて差し込んでいます。マスク部分はカメラアイの部分をくりぬいたままです。
当初はカメラ部分に紫外線硬化する透明樹脂を付けていたのですが、あまり透過性が良くなかったので取り外しました。
続いては両肩のフレームに仕込んだブルーのLEDユニット。
これは元々あった3mmの穴を貫通させ、後部のみLEDユニットに合わせて4.6mm程に拡大し、後ろから差込んでいます。
下腕部は両側にある透明パーツを光らせたかったので、フレーム内部を削ってLEDユニットを内蔵しています。
下腕部のフレームは外部に光が漏れやすいよう各部を切広げています。このように頭部や下腕部など、完成後に可動させる場所でも 配線が不要なクロスベースなら電飾することが可能です。
太股のフレームの下側は大きめに切欠いて斜めにLEDユニットを挟み込んでいます。
これは外装部のクリアーパーツを光らせたかったため。
フレームに合わせて外装部も大きく切欠いてクリアーパーツの下になる部分はシルバーで塗装しています。
これでフレーム部分のLEDユニットは組込めました。
それでは外装部分に仕込んだLEDについて解説していきましょう。
これは前胸部の外装。中央の透明部分が光ります。
ここは組込みスペースが非常に少なく、無理やり気味に4.4mmの穴を空けてユニットを内蔵しています。
上部パーツを止める部分も一部削り取ってしまったので、クリアーパーツはゴールドに塗ったパーツに接着しています。 股
股間部分のクリアパーツも胸部同様無理やり穴を空けて仕込んでいます。
穴を空けた中央のパーツは左右の辺まで削ってしまっていますが、幸いなことにクリアーパーツがぴったりとカバーしてくれるので、 組上げてしまえばわからなくなります。 ス
スネ部分は、スペースに余裕はあるのですがクリアーパーツが大きいため全体を光らせるのは諦め、大胆に中央を一箇所だけ光らせることにしました。
クリアーパーツの下を大きめに切欠き、中央部に正面に向けてLEDユニットを取付けています。
そして最後は足首部分。最初は何も加工をしていなかったのですが、 クライアントより「もっと多くのLEDを仕込んで欲しい」とのリクエストにより急遽追加しました。
これは塗装後に慎重に4.6mmの穴を空けてLEDユニットを差込んだだけ。
こういうことが簡単にできるのもクロスベースのメリットです。
さて、これで装甲と武装を付けないネイキッド状態の完成。こうして見るとこの状態も中々絵になります。
ちなみに今回の塗装はガイアノーツのエヴァンゲリオンカラー06のエヴァレッドをベースに、ナチュラルブラウンを加えて 若干暗めにした赤2色によるグラデーションに、昔イベントで販売されていた純銀を混入した塗料をクリアーで薄めてラメ風に重ねたもの。
日本刀の朱鞘のイメージで仕上げてみました。
それではいよいよクロスベースの電源を入れてみましょう!
いかがでしょう。これだけの数のLEDを仕込んでいながら、可動は一切スポイルされていません。
角度を変えるとそれぞれの電飾の見え方も変化します。これは数を使った電飾でなければ味わえない贅沢ですね。
露出とシャッタースピードを調整すると、より美しい写真が撮れます。これこそ電飾の醍醐味!
LEDの数を考えれば思いのほかシンプルに作業できました。